今回のテーマは、【やってはいけない住宅の定番ごと②】
この記事では、やってはいけない住宅の定番ごととして、
タ・ナ・ゴコロ株式会社 一級建築士事務所 代表の中川です 今回のテーマは、【やってはいけない住宅の定番ごと①】 この記事では、 『やってはいけない住宅の定番ごと』とは なぜ、やってはいけないのか デメリットについて[…]
上記の記事に続き、2つめの定番ごとを解説していきます。
『やってはいけない住宅の定番ごと』とは
今回取り上げるやってはいけない住宅の定番ごとは、
『寝室にクローゼットを必ずつける』
ということです。
ここでいうクローゼットの定義は、
扉で仕切られてて枕棚とハンガーパイプが標準装備されている収納のこと
完成した建売住宅、不動産チラシの間取りなどを見ると、寝室にはかならず扉付きのクローゼットが付いていると思いませんか?
おそらくこれは、30年前ぐらいから変わらずにパターン化しています。
私も今の自宅を設計するにあたり、何も疑問を抱かずにクローゼットを寝室につけました。
けれども、現在のところどのクローゼットも本来の機能として使用していません。
というのも、衣類収納であれば毎日開閉するはずだがそれほど頻繁に使っていないのです。
本当に寝室にクローゼットは必要なのか?
『寝室にクローゼット』という常識を、
- 扉の必要性
- 枕棚とハンガーパイプの在り方
上記の2点から検証していきたいと思います。
①扉の必要性
収納がなぜ扉で仕切られているのか考えてみると、
- 中を見られたくない
- 衣類に部屋のニオイがつかないようにしたい
といったことが挙げられます。
しかしながら、寝室はそもそも、個人しか利用しないプライバシー性の高い部屋です。
だとすると上記の理由が不具合として存在し得るでしょうか。
というのも、クローゼットとしてその空間の使用方法を限定してしまうと、それ以外の可能性を消してしまうことになるからです。
最近はコロナの影響もあり、【押入のワークスペース化】といったリフォームが多くなっています。
押入の扉を取り払って、中段を机として利用したりするようです。
押入れに限らず、クローゼットも扉の開閉スペース部分は物を置けないデッドスペースとなります。
扉があることによって、空間利用の可能性が減ってしまうのです。
②枕棚とハンガーパイプの在り方
クローゼットには標準装備として、枕棚とハンガーパイプがついています。
だいたいが床から1.8mあたりに枕棚があり、その下にハンガーパイプが付いています。
しかしながら、何も手を加えずにこの2点だけで収納として使用している人はどれぐらいいるのでしょうか?
ほとんどの人が、クローゼット内に【収納ボックス】を入れたり、【すのこ】などを敷いて布団を置いたり、自分なりにカスタムしているはずです。
そうであれば、枕棚もハンガーパイプも不要なのではないでしょうか。
なぜなら、存在しない方がレイアウトの自由度も増すからです。
枕棚やハンガーパイプがあることで、必要なカスタムができなくなれば本末転倒になってしまいます。
必要なクローゼット機能とは?
- プライバシーの高い寝室では、中を見られたり、衣類にニオイがついたりする問題が少ない
- 扉の開閉スペースにより空間利用の可能性が減ってしまう
- 中をカスタムして使用するのではあれば始めから枕棚やハンガーパイプも不要
といったことから、やみくもに当たり前のごとくクローゼットを作り付けの衣類収納として設置するのを一度見直すことを私は提案します。
ハンガーパイプなどはホームセンターで手に入るため、DIYでつけるのも難しくありません。
また、寝室にベッドやデスクなどを適宜配置してから、衣類をしまうスペースを調整しても良いのではないでしょうか。
とくに私がお勧めしたいのは、
共有で使用できるウォークインクローゼットを、全体の間取りの中に取り入れることです。
実は私の家でも、寝室1部屋をつぶしてウォークインクローゼットにしています。
中には、自分でハンガーパイプを増やし、共有の衣裳・収納部屋にしました。
これなら、見た目やニオイの心配もクリアできますし、スペースを有効に無駄なく利用できます。
思い切って、寝室にクローゼットという固定観念を見直してみてはいかがでしょう?