私の目指している『いい塩梅な住宅づくり』
前回の記事では、その1本目の柱である「取得コスト」について紹介しました。
タ・ナ・ゴコロ株式会社 一級建築士事務所 代表の中川です 今回のテーマは、 【取得コストがいい塩梅な住宅】 前回の記事で、 [sitecard subtitle=前回記事 url=https://tanagokoro.tok[…]
今回は、2本目の柱である【現場再現性】についてとりあげていきたいと思います。
現場再現性がいい塩梅な住宅とは?
さて、現場再現性とは何ぞや?ということですが、
かみ砕くと【現場の再現のしやすさが高い】いうことです。
再現性 → 広く同じ水準を継続する
= 【安定継続して同じ住宅を広く提供できる】ということ
日本は古来より木造建築物の技術に関しては、世界に類を見ないほどの高さを誇ってきました。
寺社仏閣から住宅までふくめ、建物の見せ方から細部の加工など緻密で繊細な技術の集大成が誇りです。
これらは一職人の非常に高いスキルによって成り立ってきたものでもあります。
言い換えれば、その職人しか同じ水準の施工ができない状況であるため、経済観念的にとらえれば【生産効率が悪い】状態であったと推測できます。
これでは、広く一般市民に同じ水準の住宅が行き渡るのは、まず以て難しかったといえるでしょう。
現代と比較にならないぐらい一つの建物にかかる工期は必然と長くなり、
技術伝承のための徒弟制度のような仕組みが業界全般で必要になったりと、
今では現実的ではない今の時代に合わないやり方だったと感じます。
現代では建築関連の法整備がされ、ノウハウが業界全体で共有化されました。
そのため、火災や地震に対しての安全性や、衛生面の維持が必須とされています。
そのことにより建築部材は多様化し、使用材料が複雑になって増加するようになりました。
設計図や施工要領書で規定した縛りをきちんと守れることが、今の職人に求められるスキルの重要なものの一つであると考えられます。
ようは、時代が違ってきているので、職人に求められるスキルが変容していますよ!ということです。
今の職人が過去の職人より決してスキルで劣っているわけではありません。
過去の【独自性】から現代の【遵守性】に中心が代わってきていて、
見た目の分かりやすさはなくとも、決まり事を守る緻密さが求められているのです。
また、古くは現場で加工されていた柱や梁・建築部材などの材料も、
今では工場で加工して搬入されるなど、製造環境にも変化を遂げてきました。
建築工程を分割し、職人をバックアップする体制が拡充してきているのです。
部材の加工・刻みを一職人が行ってきたワンストップ型から、
メーカー製造の専門・分散型に変化し、一人で何でもやらなくて済むようになってきています。
まとめ
現代に必要な【現場再現性】がいい塩梅になるには、
- 建築業界で広く行き渡っている建築手法を用いて施工すること
→ 現場ごとに特殊なやり方を用いない - 一職人の独自スキルに頼る前提で設計しない
→ どんな職人でも対応できる施工水準の設計をする - 特殊加工に頼る部材や材料は使用しない
→ 自動車などと同様にアフターメンテナンスのことも考え、流通している製品を利用する - 施工遵守性のサポート
→ 連絡ツールの多様化した時代なので、メールやSNSを利用しペーパーレスで図面を職人へ伝達し、
設計者と職人の距離感を近く保つ - 必要以上に難しいことをしない
→ ものづくりに携わる者としてはやりたくなる気持ちは分かるのですが、
シンプルさが安定継続した提供の秘訣といえるでしょう
上記の5つがポイントになると考えます。
オートメーション化やベルトコンベア化などの例のように、
これまで様々な業界で製造の安定継続化を向上させるために開発が行われ、
技術水準の向上やコストダウンが維持されてきました。
【いい塩梅な住宅】の建築においても、製造の世界でこれまで踏襲されてきた良い面を、現代に適した形で取り入れていき、
より良い住宅の提供を続けていきたい!と考えています。